【Aaliyah】Aaliyah (2001)
1994年に15歳でデビューしたアリーヤが2001年にリリースした3rdアルバム。
ティンバランド作のリードシングル曲「We Need A Resolution」でこのアルバムの幕は開く。
ティンバランドが開発し、当時の彼の代名詞となっていた「チキチキビート」を軸に置きながらも、オリエンタルで艶かしいトラックの上に、アリーヤのスムースな歌声が乗り、見事に怪しげな世界観を作り上げている曲である。
ミュージックビデオで蛇と絡み合う姿も印象的。
続く2曲目「Loose Rap」はRapture & E.Seatsプロデュース。
ソングライトには同じティンボファミリーだったPlayaのStaticが名前を連ねている。
というか「We Need A Resolution」もStaticが関与しているし、なんならこのアルバムのほとんどの曲で彼がソングライトで参加しているのだ。
気怠いミッドナンバーなのだが、ビートはしっかり太い曲。
3曲目「Rock The Boat」
こちらも2曲目と同じ製作陣で、ビートの太いミッド。
爽やかで美しい曲だ。
4曲目「More Than A Woman」
1曲目と同じくティンバランド&Static作。
「We Need A Resolution」と同じくオリエンタルな雰囲気のあるトラックなのだが、こちらの方がハネ感があり、比較的明るく聴こえる。
本来まだサビの部分である小節に2番の頭が入って来ていたり、よく聴くと面白い展開をしている曲。
5曲目「Never No More」
美しくも力強いミッドバラード。
プロデュースを手掛けたbud'daは後に、1996年発表のMarvin Gayeのカヴァー曲「Got To Give It Up」のNew Remixも手掛けることになる人。
6曲目「I Care 4 U」
ミッシ—エリオット作の重厚なミッドバラード。
前作「One In A Million」のときに制作された曲だとか。
7曲目「Extra Smooth」
これまたRaputure & E.SeatsとStaticの制作曲。
アルバム中、最もクセのあるトラックかもしれない。
私個人的にはこういう感じのトラックは大好き。
8曲目「Read Between The Lines」
Bud'daによるスムースかつハネ感のあるミッド曲。
ピアノやホーンの音色など、生音が印象的なトラック。
9曲目「U Got Nerve」
Rapture & E.Seatsに今度はStaticと同じPlayaのメンバーDigital Blackが参加。
アルバム中、最も尖ったトラックである。
10曲目「I Refuse」
J-DubとStaticによる制作。
繰り返すピアノの旋律の上にビートや様々な音色が足されていく、ドラマチックな展開の曲。
11曲目「It's Whatever」
Rapture & E.SeatsとStaticによる制作。
こちらもピアノの旋律が印象的な曲。
静かで美しい曲だ。
12曲目「I Can Be」
Bud'daと当時新人R&BシンガーだったTank制作の曲。
重厚で淡々と迫りくる印象の曲。
13曲目「Those Were The Days」
もはやお馴染みRapture & E.Seats + Staticのトリオによる曲。
小気味良いテンポに爽やかなメロディーが乗る一曲。
14曲目「What If」
こちらはJ-DubとTankのコンビによる制作。
終始ギターのディストーションが響き渡るトラックで一瞬異色に感じてしまうが、アリーヤの歌声が乗ることで彼女の色になってしまう。
アリーヤは決して熱唱系歌い上げはせずに、まるで自分の歌声も音楽の音色のひとつと言わんばかりにいつもクールに歌うタイプなのだが、この曲からは彼女のシンガーとしての幅も感じさせられる。
US盤はここで幕を下ろすが(ヒドゥントラックで「Messed Up」が収録)日本盤を含むインターナショナル盤では15曲目に「Try Again」が収録されている。
ティンバランドとStaticによる制作曲で、アルバムリリース前年に公開され、アリーヤがジェットリーと共に主演を務めた映画「Romeo Must Die」の主題歌となったこの曲。
彼女にとって初の全米No.1ヒットとなった曲である。
私個人的にもすごく衝撃を受けた曲で、初めて聴いたときに鳥肌が立ったことは今でもハッキリと憶えている。
そして、アリーヤのことを知っている人なら周知の事実だと思いますが...
このアルバムをリリースした翌月、彼女は飛行機事故に遭い、帰らぬ人となってしまいました。
それは「Rock The Boat」のビデオ撮影の帰りの出来事でした。
最後の水の中を浮上していく姿はとても美しくて、本当に天使のようです。
没後、ベスト盤+未発表曲という形態で「I Care 4 U」という作品がリリースされますが、オリジナルアルバムとしてはこれが遺作となってしまいました。
シンガーに限らず、故人への評価の声が高まり、レジェンド化されることがよくあります。
アリーヤもその1人であるのだけれど、私はそれでも彼女は過小評価されていると思うんです。
こんなに繊細に美しく歌う人を私は未だに他に知らない。